アモリーノ


一種異様な暑さで、アイスクリームがすげぇおいしいです。
コートもいらないくらいのあたたかさですが、そうは言っても、アングロサクソン系の30代のあんちゃんにとりわけ見受けられる、おれは真冬にTシャツと短パンでパリ歩いちゃう漢ですから、みたいなのはちょっと残念ですが、今年はとりわけ多いやうな気がします…

あったけー

というわけで、四時間くらい前からパリです。
なんか、異様に暖かいのと、クリスマスと日曜日が重なって店が全部閉まってるので、あんまり現実感がありません。
今回はポン=ヌフ傍のアパルトマンを借りましたが、とりあえずシャンゼリゼまで歩いても異様に早い観覧車くらいしか動いてるものがありません…
疲れているので、酒のんで寝よ
*1..zzzZZ

*1: _ _

人生は一行のボオドレエルにも若かない

というわけで、先日に引き続き、お片づけをやって参りました。

1階から8階まで、民俗学・言語学・国際なんちゃら学と、とにかく文科系が詰め込まれたビルなわけですが、各階からの被災物件が一階の芝生の上に大量に置かれていて、なにやら全共闘か荒れた高校の文化祭のような雰囲気になっていました。



多くはひしゃげた本棚、ひしゃげた机、ひしゃげたPCラックとかそんなものでしたが、「明らかに地震とは関係ねーじゃん」という部屋がブルブルしたのを奇貨として要するに断捨離したものも多かったように思います。


とりわけ多かったのが椅子です。

座業のせいか、やはり皆様椅子にはそれぞれこだわりがあるようで、いったい研究室で何をしていたのかが気になる場末のラーメン屋においてありそうな殺伐とした丸椅子から、もはやどこにどうやって足をかけると座ることができるのかが良く分からないけど、きっと腰痛に良いとかなんとか訳のわからない売り文句とともに真夜中の通販で売っていそうな椅子まで多種多様でした。

ただ、捨てられたかわいそうな椅子たちに基づいて捨てられなかったであろう椅子のことを推察するに、ようするに普通の椅子が一番良いのではないかという気がしないでもありませんでした。

ま、タイヤが付いた椅子なんかは、地震だけではそれほど壊れるということは考えられないわけで、どさくさにまぎれて期待外れの椅子どもを捨てまくったのでせうね。


しかし、椅子などと比べるべくもなく、種類と数において圧倒的に多かったのが、なんといっても「紀要と抜き刷り」です。

天井から大量の水が噴き出る場合は別として、地震が来ても紀要と抜き刷りは壊れませんね。

色々さしさわりがありそうなので写真は撮りませんでしたが、椅子とかそういったものとは別枠に、ゴミ捨て場の一角に「紀要・抜き刷りコーナー」が出来上がっておりました。

捨てられた紀要と抜き刷りを見て思ったのは、やはりカントは偉大だったということでしょうか。

各階から集められたであろう論文の山の題名だけを見ても、少なくないものがカントに関係していたように思います。
まあ、日本人がカントが好きなのかもしれませんが。

一ヶ所、やたらと『判断力批判』が集めて捨てられていましたが、あれはなんだったのでしょうか。

極論すると上中下の下だけ捨てるのと変わらない気がするのですが、気にならないのでしょうか続きが。
あるいは、結末がつまらなかったのでせうか。これがないと美術館に行けなくなってしまうのですが・・・


しかし、地震ということを考えると、つきつめると本を貯め込んで行くのが仕事の研究分野というのは、なんとも億劫な気分になるわけで、どうにか本のいらない生活を実現できないものかと思案しました。


(1)研究をやめる
  これが一番即効性がありますが、前提が覆っていますね。


(2)すべて電子書籍化する
  やってるやつの気がしれません。


(3)先行研究もないし誰も研究しないし仮に研究してても論文を書く気が起こらない対象の研究をする
  たぶんその研究をする意味がないから駄目ですね。


(4)無文字社会の研究をする
  全然駄目ですね。無文字社会についての研究書は山ほどありますね。


(5)無文字社会で研究をする
  一瞬名案かと思いましたが、無文字社会において研究なるものが果たしてどのような位置づけをもっているのかが難しいところです。


(6)出家する
  たいていの問題は解決してくれるイメージのある出家ですが、経蔵とかあるくらいだから出家しても本については解決しませんね。


(7)全員同じ研究をする
  「全員」が果たして誰なのかで揉めるので駄目ですね。


(8)ボルヘスの「バベルの図書館」を実現する
この図書館の本の条件は次の3つです。
条件1:全て同じ大きさの本で、一冊410ページ。どの本も1ページに40行、1行に80文字という構成。また本の大半は意味のない文字の羅列で、題名が内容と一致しないことが殆どである。
条件2:全ての本は22文字のアルファベット(小文字)と文字の区切り(空白)、コンマ、ピリオドの25文字しか使われていない。
条件3:同じ本は二冊とない。
  ・・・・これって図書館なんですかね。
  しかし、このアイディアからは次の(9)が導けます。


(9)鎖国して言葉を減らす
  特に日本語はやたらと文字が多いですし、漢字が途方もないです。そこで、言葉狩りをもっと激しくして、文字狩くらいまでやって、漢字は絶対禁止で、「あ」と「い」と「う」しか使用できないことにしてしまえば良いわけないですね。


(10)本を買わない
  これは(1)と一緒ですね。


と、恐ろしく低レベルな堂々巡りをしてしまうわけで、いつかはボオドレエルのように蔵書は聖書1冊にしたいものです。。。

古典

というわけで、そろそろ4月なわけですが、これはもう欧州蹴球ファンにとっては素晴らしい1ヶ月になりそうです。

というのも、レアルvsバルサのクラシコが上手くいけば3週間に4回みられるかもしれないわけです。

4月16日のサンチャゴ・ベルナベウのリーガの首位決戦、20日バレンシアスペイン国王杯の決勝戦はすでに確定していて、さらにCLでそれぞれが勝ち進むと4月最終週にマドリー、5月の第1週にバルセロナでCL準決勝の2試合が加わるわけです。

ここまで来るともはや有難みがなくなってくるレベルでクラシコがインフレを起こしていますが、この4戦が実現すれば伝説の3週間になるでせうね。

というか、いずれかが3勝とかすると、監督の責任問題とかC・ロナウド批判とかがさらに高まって大変興味深いですね。

都内も含めて多くの大学が新学期の開始時期を2〜4週間程度おくらせているわけで、ゆっくり深夜までテレビを見られるはずだったのですが、なぜか軽く被災している我が校は通常のカレンダーでやるようです。

昨日は、「あ〜、汚い格好してちょっと来てくんないかな〜」という私的啓示があって、いそいそとようやく規制の解けた高速を走って、親分の研究室を片づけてまいりました。

しかしね、尋常じゃないですよ。

1000冊くらい詰まった2m以上ある本棚が移動して天井の蛍光灯をぶっ壊していて、部屋の中を通っている水道管も歪んでずれていて水は当然でないし、無事だったのは『新宗教事典』くらいのものですからね。

しかも片づけ始めて3時間くらい経過したところで、二つ隣の研究室の天井から水があふれ出てきたわけです。

あふれ出てきたといっても、ちょろちょろじゃありません。

ドリフみたいにドバーって出てきて、もうね、最後にタライが落ちてくるんじゃないかと、そういう勢いで出てきて、どんどん廊下にもあふれ出てくるわけです。

他の研究室の先生方も廊下にでてきて、巨大な業務用吸水シートみたいのでなんとか食い止めようとするわけです。もちろん善意からではなく、自分の部屋への浸水を防ぐためです。

で、われわれも焦りました。

動いた本棚を元に戻すために、いったん廊下に本とかプロジェクターとかを出したわけですが、そこにどんどん水が迫ってくるわけです。

中には「最近宗教事情」とかいう絶対に再読しないというか一読もしていないのだろうけれどなんとなく価値のありそうな汚い古い本とかも多数あるわけで、しかも親分は作業せずに別のところでお仕事をしているわけで、戻ってきて本が濡れていたりしたら、「て、天井からドリフみたいに水が出てきて、それで濡れちゃったんです」といっても絶対に信じて頂けないわけで、もうすっかりクタクタだったのですが、「と、とにかく本を宙に浮かせろ〜」とか訳のわからないことを言いながら、ものすごい勢いで本を浮かせましたよ。

と、まあ、こうした非日常の一コマがそこらじゅうで繰り広げられているわけで、学期開始を3週間くらい遅らせても良いのではないでしょうかね・・・思う存分夜更かしできますし。

で、サッカーの話に戻りますと、4月2日にはさっそく首位決戦のミラノダービーがあるわけです。

長友が移籍して以来、どうもインテルが人気があるようですが、私は幼少の時からACミランが大好きです。

なんといっても、オーナーがベルルスコーニでしたからね。やっぱ名門クラブにはろくでなしのオーナーがいて、色々かき回されつつも優勝するというストーリーがにあいますね。

で、選手で言えば、シェフチェンコとかインザーギとか、どことなく暗いイメージのある人たちがストライカーとしていたことも格好良いです。シェフチェンコはあんなにすげーのに、わけのわからないドヴィルキウシュチナ村なんかに生まれちゃって「ウクライナの槍」とかいうちょっと恥ずかしい渾名がついちゃったりして、W杯予選なんかは明らかに一人で戦っていたりして、そうはいっても本戦ではさすがに勝てないわけで、そういう悲劇感が良いですね。
一方、インザーギはW杯でも優勝しちゃうわけですが、なんといってもその容姿ですよね。暗いというかどす黒いというかなんというか、尻尾をつけて槍をもたせたら完全に悪魔です。

長友がインテルに行ったのは喜ばしいことですが、ところでSBの選手ってどうやって応援したら良いのですかね。
長友がいるからといって、スナイデルとか江藤とか大嫌いな選手を応援することはできないわけで、しかしそうはいっても、たまに画面の上端か下端を副審と一緒に走りまくっているちっこいお兄ちゃんを応援するというのはなかなか難しいような気がします。やっぱ一人だけを応援するならば、最低限OMF、できればSTあたりでやって欲しいですね。

と、このようになんといってもACミランが好きなのですが、しかし、最近非常に気になるのが、ACジャパンの訳のわからないCMです。

なんだかダークサイドに落ちたあいだみつをみてえな腐ったフレーズを恥じ入りもせずに日がな一日流し続けているわけで、あれに関わっているやつらはあんなことして満足なんでしょうかね。

で、「みつを」の代わりにいちいち「AC」「AC」と言われると、本当にACミランまで嫌いになりそうで困ります。
あのウルフルズのやつとかなんなんですかね、公共の電波に出すどころか、家から出すんじゃないよ、あんなの。
ああいう無意味なことをやって自己満足に陥っている奴が、ど田舎の国道に「あせってる今があなたの赤信号」みたいなバカでかい標識をたてて喜んでるんでしょうね。

というわけで、ミランじゃない方のACは、以下のブログを読んで良く考えるべきでしょう。これは本当に素晴らしい認識です。

http://ameblo.jp/cocoro2008/entry-10839026826.html

器用すぎる

というわけで、うつろな目で某大衆誌のコラムを読んでいたところ、めくるめく紀要論文の世界が紹介されていました。

やはりトップはこちら。

この論文はちょっと前にネットでも話題になり、「日本でもっとも読まれた紀要論文」であるのは間違いないかと思います。

おそらく、このブログをご覧になっている多くの諸先生方と広い意味で専門は重なるわけですが、どなたか真理を賭金にマジレスしてはいかがでしょうか。

法隆寺五重塔は古代の電波塔だったという電波な主張がその論旨のひとつですが、これを否定するのはなかなか大変ですね。

向こうにはたま出版がケツもちにつくかもしれませんので、その点は御注意下さい。


で、こちらは、その立論のあまりの自明性ゆえに大変興味深い論文でした

冒頭で仮説が提示されます。

仮説2:デート内容がより親密なものになるにつれて(映画、飲み会よりも、アパートへの誘い)、性行動の正当性認知が高まるであろう。また、性行動レベルが進むにつれて、正当性認知は低くなるであろう。

・・・・そうであろう、としか言いようがない気がするのですが、いかがでしょうか。

でも、デート内容として、映画とアパートは分かるのですが、飲み会ってなんですかね。
飲み会というと、なんとなく3人以上を想定しますが。
ほら、チュニジアでも今、大人の事情で3人以上の集会が禁止されていますし。

しかも、映画とアパートに対して、アルコールというのは、あまりに結果に影響を及ぼす要因だと思います。

ちなみに、性行動のレベル分けは、「キス、ペッティング、性交」の3段階・・・・ちょっとハードボイルドすぎる世界観な気もします。

仮説3はこんな感じです。

男性被験者は女性が自分のアパートに来たとき、女性被験者は女性が「暇だから」という理由で自分または相手のアパートに行ったとき、最も性交を正当と認知するであろう。

その圧倒的な自明性はさておき、「暇だから」って表現に凄味を感じます。
腐女子とチャンドラーをブレンドしたというかなんというか。
枚方市って、そんなにやることないのでしたっけ。
暇なときは百済寺跡でも見学に行ってはいかがでしょうか。

結論のひとつは以下の通り。

映画に誘った場合よりも相手を自分のアパートに誘った場合にキスすることの正当性を高く認めていた。

えーと、「映画ダメ、アパルトマソ万歳!」ということでよろしいのでせうか。。。


前掲2論文とやや趣が異なるのがこちら。

こちらは残念ながらciniiでは現物を拝めませんが、結びは以下の通りだそうです。

PowerPointUnicode関連を除き基本性能についてはかなりの下位互換性を持っているということが出来るだろう。

たしかにパワポの箱の裏に書いてありそうな気もしますが、しかし、おそらく著者の意図は、『知の欺瞞』のように、あえての論文を書くことで「論文とはなにか」ということを逆照射しようとする点にあるのではないでしょうか、という深読みは別にして、なんとなく、なんとなくですが、こういうことをわざわざ言いそうな人というのは身近にも複数人というか3人ばかりいたりして、そういう人がお年を召した先生を騙くらか・・・


さて、最後は外国人の先生の格調高い英語論文です。

こちらも残念ながらネットでは読めないのですが、なんでもオンラインで英語を学ぶ効用が唱えられ、お役立ちサイトが提示されてるそうで、しかも、筆頭は「Toeicのオフィシャルサイト」だそうです。

日本が最後の戦争に敗れたことを再認識させてくれる珠玉の一品です。

ハーシーのミルクチョコレートを与えておけば今でも日本人は微笑んでくれるとでも思っているのでしょうかね・・・・ま、ハーシーをToeicに置き換えただけですね。

でも、今はこういう怖いお兄さんたちもいるから、あまりなめ過ぎない方がいいですね。