ナザレの救世主
ぼけーっとケーブル・テレビを見ていたら、恐ろしくノリの悪そうなワールド・カップ便乗ドキュメンタリーがやっていました。
マラドーナ特集です。
もちろん主題はGod Handです。
フォークランド紛争の記憶が生々しいメキシコ大会のイングランド戦で、ヘディングのふりをして、ハンドでゴールをしたやつです。
なんか異常にのりの悪い番組だったため、非常に重々しい感じでマラドーナのハンドを否定的に捉えていましたが、なにをかんがえているのでしょうか。
あれぐらい完璧なハンドならば、少なくとも審判を騙すくらいには完璧なハンドなら、それはもうゴールです。
しかも驚いたのは、あのゴールは、マラドーナは最初から計算づくでやっていたそうです。
せいぜい誤って手を出したのか、あるいは、計算づくだとしても、あの時思いついたのだと思っていました。
ちがうそうです。
小学生の時からやってたそうです。
マラドーナは、煙草の空き箱でリフティングをしていたというエピソードに象徴的なように、われわれには想像もつかないような貧しい幼少時代を送っていたわけですが、サッカーに勝った時のご褒美のジュース欲しさに、あれと同じことをしょっちゅうやっていたそうです。
だから、昔から彼を知る人は、世界の大半が騙されていた時にも、「また、やりやがった」と、すぐに気づいたそうです・・・・うーん、凄すぎです、ますます好きになりました。
100%確信犯ですね・・・・自分で「ゴール!!」と叫んでいます。
ついでに、試合後には「神の手」とか言っちゃうわけですよね。
かっこよすぎです。
ジーコも好きです。
でも、彼はわりと熱心なカトリックらしく、「神様」と呼ばれることを快くは思っていないそうです、いかにもジーコらしい。
ジーコに比べて、自分からゴッドを持ち出すマラドーナのウザいまでの図々しさがたまりません。
しかも、引退後は筋金入りのジャンキーで、日本にも入国できませんでしたね。
完璧なスーパー・スターです・・・・そもそも、いくら弟がいるといっても、Jリーグなんて、これっぽっちも興味がないのに来日しちゃだめですよね。
ジーコが田舎の司祭だとしたら、マラドーナはナザレの救世主に見えてしまうのは、私だけでしょうか。
マラドーナの前では、プラティニですら、ルノーの販売員みたいなもんです。
ゴッド・ハンドだけならまだしも、その後、伝説の五人抜きをやるわけです。
うーん、ロナウジーニョもなんかとっても人が良さそうな感じで、ワンクリック詐欺とかにひっかかってそうです。
ジダンも、最近じゃ、ますますロボコップみたいになってきちゃったし・・・・そろそろ新しいメシアが到来しないでしょうか・・・・・イルハンって何しているのでしょうか。
ところで、些細なことなのですが、川渕キャプテンは、ジーコ監督下で選手の自主性が高まったことを評価して、
「〔各人が〕主義主張することでチーム力が上がる」
と言っているそうです(括弧内は引用者による)。
主義主張という慣用表現があるのは分かりますが、やっぱこの場合は「主義」はいらないのではないでしょうか・・・・まあ、サッカーなわけだし。
なぜかは分かりませんが、中田が『資本論』片手に、『精神現象学』を持ってたたずむサントスに説教している姿が思い浮かびました・・・・ヘーゲル左派と右派の隠喩でしょうか。