青チョークの男

小学校四年生の時にアジアで最後の教養主義者になると決めたので、それ以来、岩波文庫とガリマール社以外の本は趣味の読書では読まなくなりましたがというのは嘘ですが、黄金週間中に風邪で倒れている際に、久しぶりに推理小説を読んでしまいました。

読んだのは、フランス・ミステリの女王と言われるフレッド・ヴァルガス・・・女性です。

中世歴史学者なのですが、昔から学者だけやるのは嫌で、アコーディオン弾きかミステリ作家になると決めていたらしく、音楽の才能はなかったので小説を書いたら、あっという間にトップに昇りつめたようです。

日本語で読める『青チョークの男』と『死者を起こせ』の二冊を読んだのですが(風邪の時にフランス語で小説を読めるほどの教養はないのです)、どちらもとても面白かったです。

青チョークの男 (創元推理文庫)

青チョークの男 (創元推理文庫)

死者を起こせ (創元推理文庫)

死者を起こせ (創元推理文庫)

なにがすごいって、『青チョーク』の主役の警察署長は、まず一切推理しません。
ひたすら直感で動くだけで、あとは昔の恋人のことを延々と考えているだけです。
鬱病の榎津みたいな感じでしょうか。
でも、そのおかげで事件が解決するんですよね。

で、『死者』の方は、就職のない歴史学ポスドクが三人で共同生活をしていて、両隣の家に綺麗な人がいて、色々あって、三人でその女性たちの周りをうろうろしているうちに、なんか事件が起きて、いつのまにか解決しているという、他人事のような他人事じゃないようなお話です。

で、やっぱりこっちも推理しません。
ひたすら色恋沙汰にうつつをぬかしているだけです。
感想としては、フランスの院生も色々大変なんだなー、だからこんな色狂いになっちゃうんだなー、学振とかないのかなー、という感じでしょうか。
途中の『白鯨』の有名なシーンのパロディが秀逸でした。

というわけで、あの方も再びblogを始めましたし、がんばっていきまっしょい