煙草をやめて自己犠牲

一言でまとめるならキアヌ・リーブスコンスタンティン』はこうなります。
ヴァン・ヘルシング+デスペラード+マトリックス」くらいの馬鹿映画を期待していたし、いくらでもそういうシーンが作れそうなストーリですが、戦闘場面はほとんどありませんでした。


配給会社は明らかに宣伝の仕方を間違えています。
誰が見てもこの映画は「信仰」を問題にしているのであって、悪魔祓いのいかれたお兄ちゃんの陽気で愉快な一週間を描いた映画ではありません。

平日夕方に行ったせいか、営業をさぼって時間つぶしに来たサラリーマンが、かなりいました。
彼らが期待していたのは、それこそ「ヴァン・ヘルシング+デスペラード+マトリックス」みたいな映画で、たった2時間でも惨めな境遇を忘れるために来ていたと思うのですが、肺癌で余命一年のエクソシストが「おれは嫌われ者だ」とか言いながらくわえ煙草で両手首を切って流れ出た血で煙草を消して改心して救済される話を見せられたら、もう二度と営業できなくなる気がしますが、まあ、どうでも良いでしょう。

監督はエアロスミスのPVなんかを撮っていた人らしいですが、彼が意図したのは「地獄絵図」を描くことだと思います。
天国のシーンもほんの少しだけ挿入されますが、なんか新宿都庁界隈みたいなところでした。
洋の東西を問わず、天国よりも地獄の描写の方が豊かに描かれてきましたが、この映画にもそれは当てはまります。

そして、現代版地獄絵図を描くのに、ヤッピーっぽい頭の良さそうなキアヌ・リーブスは極めて適切な俳優だと思います。
他にはエドワード・ノートンティム・ロスくらしか思いつきませんが、彼らにするとただでさえ暗い映画がますます暗くなって全く儲からなくなるのでキアヌはベストの選択だと思います。

ひとつ気になるのは、主人公コンスタンティンは超ヘビースモーカーで「緩慢な自殺者」という設定ですが、一日に吸う本数は30本だけということです。
えっ、少なくない?という感じではないでしょうか。
おそらく禁煙万歳の現代アメリカの都市部のイメージでは「一日一箱+十本=これ絶対死ぬ」という等式がなりたってしまうのではないでしょうか。
正直これがちょっとしょぼいですね。

コンスタンティンは黒いスーツ黒いネクタイ白いシャツしか着ないという設定です。
アメリカではレザヴォア・ドックス以来のマフィアのイメージになるのかもしれませんが、日本人には「あっ、内Pだ、No Planだ」となってしまします。
ちなみに内村は一日に3,4箱吸うそうです。
これがヘビースモーカーですね。
彼もそのうち神を見出すかもしれません。
見出したら「偶然神様を見て一言」みたいな企画をやって欲しいですね。