Arca noae

KR師が教えてくださったのですが、テヘランで凄いものが見つかったようです。

発見者のコーンヌーク氏によれば「ノアの箱舟」だそうです。

プロレス団体でもトヨタのファミリー・カーでもEDさんが姪の名前にと推薦した特殊領域の女優さんの名前でもなく、大洪水の時に動物さんとノアさんが乗ったあれです。

コーンヌーク氏の経歴が「元探偵の作家」という時点でなんかつっこむ気も失せますが、アメリカのローカル・ニュースはこの話題で席巻されているそうです。

こっち(http://x51.org/x/06/03/1021.php)はどうなるんだということには、この際目をつぶりましょう。

この発見を信じる人々の無知というか不見識を笑うのは簡単だし、それなりに楽しいことです。

でも、意味学派の方々によれば、宗教的信念の根本にはそれを支持する共同体的基盤があって、そこで社会化すれば、そこで流通する観念・理念を内面化するようになるわけです。

そうなると、何人かの方々が論じるように、箱舟発見は、決して政教分離の是非や、科学vs宗教というような素朴な問題系だけには回収できません。

これを信じている人々の中では、そもそも科学と宗教なんか対立していなくて、極言すれば、科学っていったらガレージでやる車の修理で、宗教っていたらそれ以外のすべての領域を貫く支配的なレトリックということです。

まあ、ぶっちゃけて言えば、属している常識が違うわけですよね。

日本だったら、せいぜいタモリクラブのネタにしかなりません。

でも、アメリカの一部の地域では、箱舟発見を支える信憑性構造があるんでしょうね。

アメリカを良く知る方がおっしゃいますが、彼の地では、テレビのニュースは、ローカル・ニュース→国内ニュース→海外ニュースという順に放映されます。
しかも後者にいくほど、放映時間は短くなります。

その結果、たとえばブッシュvsケリーの選挙戦で、結局は投票者の動向を決めたのは、イラク戦争なんかじゃなくて、宗教教育とかプロライフとかそんなのばかりでした。

つまり、「華氏911」とは全く異なる次元で選挙戦は戦われていたわけです。

太ったケント・デリカットのメッセージは、一部の都市エリートにしか届いていなかったわけです。

コーンヌーク氏は、シナイ山も特定したし、パウロの舟が遭難した島も発見しているそうです。
でも、箱舟に関しても、明らかに論理がおかしいんですよね。
  

山の中に人によって切り取られた木が存在する
         ↓
  これを説明可能な話は創世記6章〜8章に書いてあるあの話しかない!!

・・・・おかしいですよね。

ひょっとしたら、この無限に広い世界を探せば色々な話が出てきて、ひょっとしたらイランにもそういうような説話があって、「シャリマールの焚火跡」とか「イスマエルの乱闘跡」とか「アブドゥルの山小屋跡」とか「ポルナレフの失火跡」ということになるかもしれません。

でも、たとえばダ・ヴィンチ・コードを読んで、シオン修道会みたいな勢力が十字軍以来存在していると真に受けた人も多いはずです。

ニュートンが歴代の会長にいて、こういうことを記した書類がパリの国立図書館にあると。

確かにそういう書類はありますが、この書類が少々頭の緩い人によって1960年代におさめられたことも、フランスでは周知のことです(名前も分かっているし、動画も存在しています)。
いわゆるレンヌ・ル・シャトー・フィーバーの時に検証されました。

ソニエール神父は、何で巨万の富を築いたかというと、もちろん聖杯を発見して、それをバチカンに売りつけたからです・・・・というのは嘘で、信者から多額の献金を取り立てていただけのようです。

実際、この問題で、何度もパリに呼び出されていたそうです。

うーん、シンプルすぎますが、そんなもんなのでしょうね。

レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス)

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