サン・ジャックへの道
というわけで、帰国してから二日以上家で寝ていないためか、まだまだ時差ぼけが直らず、寝酒のはずが朝まで単独無酸素宴会みたいなことになってしまっているので、ここは一つ無駄なことでもしようと免許の更新にいってきました。
とにかくお役所仕事で内容ゼロのくせに時間コストが物凄いので、もっとも人がいなさそうな時を狙って、院生の数少ない特権の一つを行使して、年度初めの昼に大手町に行きました。。
すると案の定、馬鹿でかい更新センターに3人しかいませんでした。
講習をのぞけば10分もかからないで終わってしまいました。
で、しかも、この前つかまったのは五年後に回されるとのことで講習も30分。。。
なんとなれば、大手町という宮城の足下で陛下に弓を引く覚悟で、ねずみ捕りの是非を問い質すくらいの勢いで乗り込んだので、なんだか拍子抜けでした。
でも逆に言えば、これから五年間、あと一つでも軽微な違反をしたら、次回は楽しい二時間講習になってしまうわけで、本当に頭にきます。。
今回リヨンに行った時に、テレビでフランス版警察24時みたいのをやっていましたが、あちらのスピード違反は並ではありません。
日本だと180キロもだせば人間じゃないみたいな目でみられますが(私は出しませんし、出したいとも思いませんが)、フランスのスピード狂なんて250キロだしてます。しかも、ほぼ無免許。
普段は野放しにしている潮来の土手で、60キロで切符きって説教たれるような百姓は、少しはガリアの百姓の根性も見習ったほうが良いかと思います。
そんなわけで、一日の最大イベントが免許の更新などとなっては、それこそ家系の恥になってしまうので、前から気になっていた、親分もお奨めの映画を見に行きました。
とはいえ、若い者が年度初めのうららかでもない日に一人で銀座を歩いているのもどうかと思いましたので、都内某所で性の探求をしていたお姉さんを誘いました。
かなり深い探求だったようで、gender roleの訳語の分布が大まかにつかめたとのこと。。
というわけで、巡礼映画「サン・ジャックへの道」をシネスイッチ銀座で見てきました。
もっとメジャーな映画かと思っていたのですが、東京でも銀座か下高井戸でしかやっていないようです。
ご存知のとおり、サン・ジャックとは、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」のことです。
監督はコリーヌ・セローなので、当然素直な映画にはなりません。
とはいえ、非常に分かりやすく面白く作られています。
公立高校教師の反宗教で啓蒙主義者のおばさん、
出世フリークで家庭崩壊の社長、
ただのアル中、
というめちゃくちゃ仲の悪い三人兄弟が、遺産相続の条項にサン・ジャックへの巡礼が入っていたために、仕方なく2ヶ月休みをとって1500キロを歩き始めるというものです。
出発点は、今回の調査でこっそりいくのを目的にして写真まで貼り付けてお気ながら、結局あまりの寒さとリヨンの居心地の良さで諦めたル・ピュイ・アン・ヴレです。
上の三人と同じツアーで一緒に歩くメンバーも、女子高生二人に、彼女たち目当てで来たアラブ系移民第三世代らしきお兄ちゃん二人(しかも、一人はもう一人に騙されていて、てっきりメッカにいくのだと思っている)。
それにしても、とにかく全員が愚痴を言いながら歩き続ける話で、ロード・ムーヴィーとしても久々の傑作なのではないでしょうか。
見ようによっては移民問題、宗教の拡散化、ライシテ問題などなど、色々な話題がつまっている映画です。
実は、昨年の2月に、私もサン・ジャックへ行く準備をしていたのですが、色々あって面倒になってやめてしまいました。
ですが、これを見たことで、また行きたくなってしまいました。
で、HPに書いてあったのですが、一週間前くらい、シネスイッチでこの映画を上映した後に、映画にあやかって、そのまま宮城の一周5キロをみんなで歩くウォーキング・ツアーというのが行われたようです。
うーん、これを見たときには軽い戦慄みたいのに貫かれたのですが、こういう想像力の淵源ってどこにあるのでしょうか。。。
両者を並列できてしまう無邪気さみたいのが怖い。。
さそれこそ出発点のル・ピュイに行くだけで一苦労だし、1500キロ歩くなんて体に悪いに決まっているし、お金だってめちゃくちゃかかるし。
なんだかこのウォーキング・ツアーみたいな発想って、ねずみ捕りに通じるものがある気がします、ちゅ〜ちゅ〜。
とはいえもっとも気になっているのは、女子高生をやった二人の女優さんは、この映画のあんなシーンで脱ぐ必要はあったのだらうかということです、ちゅ〜ちゅ〜。