先端的な第二の人生

というわけで、ストもようやく終わりに近づいて来たのですが、ストのおかげで一人遊びが上手になって、目覚まし代わりに、朝起きてすぐ、ニコ動で「元気がでるテレビ」を見る癖がついてしまいました。

で、ちらちらネットを見ていると、濱野智史氏が、「ちょっと大げさに言うと、ニコニコ動画は、ベンヤミンが70年前の論考『複製技術時代の芸術作品』で提示した構図そのものを崩してしまうとすら言える」とおっしゃっていました。

芸術作品は、いま、この場所でしか見ることができないという『一回性』において『アウラ』(オーラ)を宿す。レコードや(映画)フィルムといった複製技術は、芸術作品の大量複製を可能にし、大衆的な娯楽産業を実現する一方で、アウラを喪失させてしまう

というのが、ヴァルタソの論旨で、これに対して、

ちょっとあおりっぽく言えば、ニコニコ動画はいま・この場で芸術作品(コンテンツ)を体験するという『体験』そのものを複製可能にする。20世紀は芸術作品という『対象』が複製可能になったが、21世紀は芸術を体験する条件『いま・ここ性』さえもが複製可能になった――と言えるかもしれない

ということらしいです。

おっしゃることは、大筋ではごもっともだとは思います。

「そうか、YOSHIKIはゲイリー・ヨシキの頃から芸術だった――と言えるかもしんまい」と納得してしまいました。

というのはまったくの嘘で、これは芸術作品の定義によりますよね、ゲイリー・ヨシキの場合はさておき。。

コンテンツ=芸術作品ではないような気がするのですが、ゲイリー・ヨシキの場合はさておき。

だいたいコメント消さないで見ている人、いるのでしょうか、ゲイリー・ヨシキの場合はさておき。


早い話、コミュニケーションの方法にちょっと目新しい方法が加わっただけだと思うのですが、いかがでしょうか。

そういう意味で、ニコ動も巨大掲示板も、「学級新聞」と本質的に変わらない気がします。

「学級新聞はいま・この場で芸術作品(コンテンツ)を体験するという『体験』そのものを複製可能にする」とか言われても、困りますよね。


で、濱野さん、返す刀でセカンド・ライフを懲らしめています。

早い話、「同期しなくても良いのがネットの売りなのに、なんで今さら同期が必要なものを作ったんだ」とおっしゃっているわけです。

これは正しいですよね。

後輩がこういうものに関する発表をしていたので、「そんな暇人いるのか!?」とびびっていました。

が、実際はまったく違って、案の定、やってるやつはほとんどいないそうです。

メディアの報道と企業の参入が先行して盛り上がっているSecond Lifeだが、日本どころか世界でも流行しているとは言い難い。全世界の登録ユーザー数は、3月7日現在で約436万。これは、国内ローカルサービスであるmixiの登録ユーザー数800万(1月28日現在)にも遠く及ばない。

全登録ユーザーのうち、60日以内にログインしたユーザー数は約160万と、36%にとどまる。オンラインのユーザー数は常時2万人弱〜3万人弱程度と、全登録ユーザーの1%未満。「ラグナロクオンライン」のピーク時の最大同時接続数が70万(ボットはともかく)を超えていたことを考えると、世界的に見てもそう大きいサービスとは言えなくなる。

全世界で2,3万人って・・・・ミック・ジャガーが鼻歌うたえば、もっと集まるんじゃないでしょうか。

ちょっと考えれば、SLが逆行なことは分かりますよね。

掲示板とかmixiでコミュニケーションの効率性を高めたのは、更新と閲覧の簡単さです。

いつやったって、どこに書いたって、わりと多くの人が見てくれるわけです。

それに対して、SLは、アバター使ってうろうろして、同じ時間に操作している(暇)人と話さなくてはならないわけです。

どう考えても、面倒くせーとしか思えません。

激しい僻地に住んでいる(暇)人以外には、メリットはありませんよね。。

さらに、

他ユーザーとのコミュニケーションを楽しむという手もあり、黙って歩いていても頻繁に話しかけるられるが、ネット上で見知らぬ人とコミュニケーションすることに抵抗がある人にとっては辛いだろう。英語圏のユーザーの方が圧倒的に多いため、会話はどうしても英語中心。英語が苦手な人にとって、コミュニケーションへの抵抗感は強い

のだそうです。

で、アバターの操作性もきわめて悪く、くだらねー仮の衣装にも実際の金がかかる。

企業の方は極めて安く宣伝できるから参入したそうで、その宣伝効果にしても、SLそのものの宣伝効果ではないそうです。

Second Lifeはユーザー数が少ないため、広告効果は極めて限定的だ。しかし今のうちに参入を表明すればマスコミが紹介してくれる可能性が高い。メディアに露出できる上、先進的な企業としてのイメージも付けられるオイシイ広告媒体、という訳だ。

要するに、テレビと活字にのるから、とりあえずやってるだけのようです。

で、結果として、世界的な閑古鳥が鳴いているようです。

そりゃ、そうでしょう。


人気のある場所といえば、アダルト系かカジノだけだそうです。

で、ここに行くと、

裸のアバターが街をかっ歩し、セックスのスクリプトを使って見知らぬ人と、“バーチャルセックス”に興じていたりする

うーん、週末の夜の上野公園(鶯谷寄り)の方が、もうちょっと気合が入っているような気もするのですが。。

全般的には、3Dとかヴァーチャル・リアリティと虚構とか、さんざん手垢のついた話をいまさら忠実にやったのがSLで、その結果、予想通りの失敗を繰り広げているということでしょうか。

なんでも、「先端的なブロガーなどが絶賛」したそうですが、なんなんでしょうかね、「先端的なブロガー」って。。。

どのへんが先端なんでしょうか。。。

どうせ、住所が「先端的」なだけだったりして。

ニートとか院生とかネット(ニートかつ院生)とか、そういう先端的な人がやっているんでしょうね。

こういう空間での「つながり」みたいのが、ここ10年来の流行ですが、まあ、先端的すぎて、大勢に影響ないような気がします。

恐らく、今後のSLの集客方法は一つだけで、エロ・サイトとして先端的になるしかないでしょう。。